単純なこと
ベッドで眠る際に、きわめて単純なことを考えるという方法で、これには昔からすでに代表的ないくつかのアイディアがあり、一般に応用されています。
中でも効果的なのは、牧場の柵をとび越えていく羊の数をかぞえるという方法です。
牧場といってもごく簡単に、緑の平野を想像すればよく、背景などあまり詳しくは思い描かぬ方がよい。
山や川があったり木や家があったりしてはかえってややこしく、滝が落ちていたり氷山があったりするのは尚さらよくない。
単にオーストラリアあたりの平野部を想像すればよいのですが、これとて知らぬからと言いわざわざ見に出かける必要はない。
柵は視界の中央に一筋だけあって左右を分けているのがいちばん簡潔です。
次に登場してくる羊ですが、これも黒い羊なら黒い羊、白い羊なら白い羊と決めてそれだけを登場させねばなりません。
間違えても各種とりまぜて登場させたり、時には趣向を変えてなどと思い健む慨の羊、びっこの羊などを登場させてはならない。
すでに出てきてしまった時はこれはもうしかたがないから、なるべく気にしないようにし、今のは五体満足な普通の羊であったと思い、気を静めて次の羊を数え続けるのが好ましい。